たかすぃ~の 『どらまれんず』

えんげき工房 ドラマ×ナビ主宰 斉藤 貴(たかすぃ~)のブログです。『どらまれんず』とは、演劇的見地から世の中をのぞこうという勝手に作った造語です。まあ、要するに演劇関係の記事が主です。

ワークショップ受講の巻

※“どらまれんず”とは、ドラマを通して世の中をみようという勝手につくった造語です。

 

 

 先週火曜日からの3日間、イギリス非営利芸術団体「Phakama」の芸術監督であるコリンによる演劇教育ワークショップを受講してきました。
 
度々の質問に、しばしば場を止めてしまい他の参加者にはとても迷惑をかけてしまいましたが、コリンにおいてはその都度誠実に私の納得のいくまで深くおおらかに対応してくれたので大変に感謝しています。
 
「2日目の最初に誰か10分ほどのアイスブレイクをやってくれないか」というので厚かましくも立候補し、さらに厚かましくもチェックリストなるものまで作成して通訳の方に英訳してもらい、そのアイスブレイク時のファシリテーションチェックをお願いすると、快く引き受けてくれました。これまた通訳のやすこさんともども多いに謝謝。(コリンのフィードバックを通訳してくれたのぞみさんにもテレマカシー!)そして今回の『目からウロコ』
 
それはコリンの導き方、というか、導きイズム(今適当につくった造語です)。
 
ワタクス、表現教育及びコミュニケーション教育従事者の端くれとして、今まではアウトプット能力の向上、つまり参加者には現状に対して“プラス”の状態になってもらうことを望んでいました。
 
しかし、コリンが参加者に望む姿は“ニュートラル”
 
恐れや気負いがある“マイナス”の状態でもなく、ましてや自信に満ち溢れた“プラス”の状態でもない、某アニソン的に言えば
 
『ありのままの姿』その状態こそをコリンは「Beautiful !!!」と言って賞賛し「GGGreat!!!」と言って目をランランと輝かせます。
 
そしてそこにはコリンのデバイジングによって導き出された参加者たちによる「Beautiful」で「Great」な空間が出来上がっていました。
 
コリンはこうも言いました。
 
「Trust yourself」己を信頼すべし
 
「Trust paticipant」参加者を信頼すべし
 この「Trust」にも2つの気付き(正確には思い出し)が待っていました。
 
☆「自分を信じる」
欲の深いワタクスは自分を信じようとすると、どうしても“できる”ことを信じようとしてしまいます。
 
うまくファシリテーションが出来ることを信じる。
 
しかしこの『出来るを信じる』は、信じようとすればするほど『不安』がくっついてくるので、どんどんつらくなっていきます。
 
ファシリテーターのまず第一番の仕事、それは安心な場づくり。そしてこの安心だとか、不安だとかはよく参加者に伝染します(特にファシリテーターが無意識であればあるほど)。
 
どうせ伝染するなら安心をうつしたい。
 
そこでコリンからもらったこと
 
ニュートラ
 
そしてコリンはさらに言います。
 
ファシリテーターは自分が一番快適な状態でいなければならない」
 
快適な状態、つまり、その場その瞬間が、好きか嫌いか?
 
だからこの時点で信じること
 
それは、、、
 
自分はこの演劇的な時間と空間がこよなく
“好きだ” という気持ちを信じる。
 
そして好きを信じると「ああ、やっぱ好きだなぁ、こういう空間」と、あらためて思うだけでまず、自分に『安心』が得られます。
 
別に嫌いになっていた訳でありません。だから信じるというよりは「噛みしめる」といった方がスッキリするかもしれないけれど、安心を倍増的に参加者に伝染させるには、やはりあえて「好きを信じる」にフォーカスしたい。☆参加者を「信じる」
コリンが導いたデバイジングという手法によって立ち上がったその作品にはストーリーなどありません。
個人が思い思いにつぶやき、思い思いに移動するというだけの構造。
最後スタッフさんたちにみてもらおうとなりましたが、不粋なワタクスは「これって観てわかんのかなぁ?おもしろいのかなぁ?」などと芸術従事者にあるまじき邪推をしてしまいましたが、すべからく杞憂。
 
余計な情報や意図がないニュートラルな空間は自分でやっていながらも他の参加者のことがスーッと入ってくる。観せ手として作品に参加しながらもいろんなことを想像してしまう、とてもリラックスした空間でした。
 
最近はコミュニケーションや表現といったことにネガティブでモチベーションも低い参加者と向き合うことが多く、そういった人たちにコミュニケーションや表現の面白さを知ってもらいたいという以上に、まかり間違って苦手意識を持たせたくないという思いで現場に立っています。   
 
そうなると、いつの間にか親が幼児に対して焼き魚の小骨をとって食わせてやるように、ワークに入りやすくするよう説明が多くなったりハードルを小刻みにしたり、良く言えば丁寧、悪く言えばお節介というような傾向に走っていたなと自戒。
そして、それは少なからずも参加者の想像力を削いでしまった可能性も大きいかと、、、
 
じゃあどうすればいいか?という問いに明確な答えは導きだせていませんが、参加者の想像力を信じることは参加者のクリエイティビティを誘発するんだな、というのは体験をまじえての実感。。。
 
 
といった、いろいろな気付きと思い出しにあふれた3日間でした。
 
理屈も大事ですが、一番大事なのは
 
「ありのままの自分を受け入れ、そして信じること」
 
アナだけに、切実(雪日)なメッセージをいただきました。
 
おあとがよろしいようで。。。